バス乗ってたら目がパキパキのおっさんが乗ってきた。
そのおっさんはAmazonからの荷物が入った袋を開け出した。
おそらく置き配を盗んできたものだろう。
そのおっさんはうきうきで袋をあけるとまずはかわいらしいりんごが出てきた。
そのりんごの部分がブラシのカバーになってるデザインのトイレブラシだった。
おっさんはしゃくれてるので、そのりんごを持っていると白雪姫に出てくる魔女みたいだった。
その袋から次のものを取り出すと可愛らしいお花のついたリースだった。
さらに取り出すとベージュの女性用パンティー2枚だった。
最後には黒いニットのワンピースが出てきた。
クリスマス会のプレゼント交換で完全にミスマッチした時に近い外し方しててわたしは噴き出しそうでした。
そのおっさんは隣に座ってるイスラム系のメガネをかけたおぼっちゃまに彼女にあげたらどうかと押し付けていましたが、そのメガネくんは苦笑いでした。
盗まれた方もたまったもんじゃないだろうけど、盗む方のこんなはずじゃなかった感もなかなかでした。
しゃくれたおっさんはがっかりする間もなく揚げドーナツをうれしそうにかぶりついてました。
彼は今ここにしか生きていないです。
道徳的、倫理的な感覚のない世界は新鮮です。
モラルがないことこそモラルなのだと坂口安吾は言ってたことを思い出しました。
卒論は坂口安吾で書きましたね。
自分でいうのもなんだけど、わたしはかなりモラルがある方だと思いますが、一方でモラルのなさにも寛容でむしろモラルに縛られるのがすごく嫌です。
そういう意味ではこのアモラルな街が自分には合ってるんだな。
イングリッシュベイの夕日
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